貧困の終焉 2025年までに世界を変える
「世界の貧困」あるいは、「サハラ以南のアフリカの貧困」、「東アジアの貧困」と言い換えても良いだろう。このことについて、わたしたちはどんなイメージを持っているだろうか?果たして、それは正しい情報や知識なのだろうか?
世界各国の首脳が集まり、多額の支援を約束するニュースが、有名人が貧困地域に行く映像が流れる。そのときに私たちは、何を思うだろうか。昔なら「かわいそう」、いまなら「それは私たちの問題じゃない、彼らの問題なのだ」という都合の良い自己責任論ではないだろうか。
そう、「彼らの政府は腐敗しているから、彼らは怠惰で勤勉でないから、彼らは不衛生だから、自業自得なのだ」、と心の片隅で思って顔をそむけていないだろうか。それは、先進国の政治家も同様であり、「彼らは時計を知らないので時間の概念がない」などと平気で言う。
しかし、この本を読むと、それらはすべて間違っていることがよく分かる。著者は、現地に行って人々と会って話をすれば、今まで言われていることは真実と程遠いことがすぐにわかるという。
著者のジェフリー・サックス教授はアメリカの経済学者で、南米ボリビアのハイパーインフレーションや、社会主義のポーランド、ロシアの自由経済への復帰を実地で助け、アジア通貨危機の時のIFMの処方箋を批判し、中南米諸国の債務取り消しに奔走した。
現在は、国連事務総長の特別顧問を務めている。
もちろん、貧困すべてを撲滅することは不可能だ。ただ最低限の生活から脱しそのハシゴの一番下から一歩昇ることは可能なのだ。具体的に2025年までにその目標を達するには、先進諸国が、GNPの0.7%を支援を20年続けることだという。
しかし、華やかな国際舞台での支援の約束は、守られないし、その援助額があまりにも少なく、期間が短すぎるという。歴史を遡れば、第二次世界大戦が終わって、アメリカは、ヨーロッパに対して、マーシャルプランを実現し、賠償金を求めず、大規模な援助を行った。それが戦後の経済発展を生み出したことは事実だ。
一方のアフリカ、アジアは、第二次世界大戦後、植民地から解放されたはいいが、援助を受けられず、反対に冷戦の代理戦争の最前線に立たされ、経済基盤、社会基盤が作られずに来た。冷戦が終わり国際社会に本当の意味で復帰できてから、まだ20年も経っていない状態なのだ。
いまマーシャルプラント同様のことを行う必要があるのだ。それは不可能なことではない。ただ一番大きな障壁は、むしろそれを阻害する「偏見」である。
- 彼らの政府は腐敗しているので、経済発展は無理だ。
→同様に、腐敗しているといわれるアジアのパキスタン、インドネシアは、着実に経済発展をしている。反対に民主的な政治を行っているガーナは、未だに貧困に苦しんでいる。 - 怠惰で、学習能力がない
→最低限の水や道路のインフラ、教育が無いため、貧困から抜け出し貯蓄すらできない状況にある。村に一台携帯電話があれば、農業の情報、医療などの 支援が得られる。これらは、「すでに知られ、証明され、頼りになることがわかっている適切なテクノロジーと他者の介入によって解決できる問題」なのである。 - これ以上、人口が増え続けると世界のバランスが崩れる
→衛生状態が悪く、子どもの死亡率が高く貧しいから、労働力が必要なために子沢山になる。経済が発展して所得が増えると、子どもの数が減ることは、先進国で証明されている。
すでに「貧困の終焉」に向けていくつものプロジェクトが動き出している。なにが起きているか、なにができるかを知るには最適な書です。
著者が所長を務めているコロンビア大学地球研究所所
Millenium Promise2015年までに達成すること

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