以前に紹介しました、メトロポリタン歌劇場で上演されたオペラ『ファウストの劫罰』のMETライブビューイングに行ってきました。東銀座の東劇、6時40分の回(一日一回ですが)、入りは30人弱かな。
HD上映ってことでどんなもんかと思ったけど、驚くほど鮮明で驚いた!いまこれくらいの画質なんだ。明るさも問題ないし、途中の20分の幕間休憩のと き、スクリーン一番前まで行って確認しましたが、フィルムと画質が変わらないですね。舞台全景のロングショットは、観客の一人一人の動きまできちんとわかる。
しかし、11月22日に上演したものが、一月も経たずに観られるというのはすごいなあ。英語圏ではもっと早いけど。ただ3500円は高い。せめて2000円くらいにはならないものかしらん。
カメラの動きが、まったくのテレビの劇場中継なんで、無難だったり、説明的な動きだったり、極端なアップなので疲れる。DVD販売があるだろうから仕方 ないんだけど、もっと引き画でないと、処女のヒロイン役が、ふとったおばさんだというのがすぐにバレてしまう。観客の創造力を刺激しないのですね。これは 仕方がないのかなぁ。
それだからか、期待していたのですが、うーんもっと驚きがね、もし劇場で観られたら(夢の夢ですなぁ)、まったくちがう印象だと思います。音と画は素晴らしいんだけど、いまひとつ劇場の空気が伝わってこないのが惜しい。
ちょうど、ジョゼフ・ロージーのインタビュー本を読み直していて、『ドン・ジョバンニ』の驚異的な撮影を思い出していたので、もし、ロージー級の人が撮影だけ、まあ撮影スタッフだけでも違ったらどうなのかなぁ、とかなんとか思っていました。
ロベール・ルパージュの創造的な映像演出のインタラクティブ部分はすごいね。背景のカーテンをCGで作っているんだけど、人が通るとそれに合わせて、揺れる!メフィストフェレスが歩くにつれて背景の木の葉が落ちて枯れ木に変わる。風に吹かれて木の葉が舞う。一瞬にして背景が入れ替わるなど、ある意味歌舞伎的でもあるのかな?
升目に区切られた4階立ての書割が、映像と照明によって、抽象からいつの間にか具象に変わったり、細かく分断されたり、一枚絵になったり、視点が突如、真上からになったり(これは観ないとわかりません。重力に逆らっているのです)と、大胆かつデリケートな演出と技術が一体化している。
ケッコウ複雑なことをやっているんだけど、仕掛けが解明できなかった。たぶんリアプロジェクションスクリーンをレイヤーを二層にして使っているではないかと思うんだけど、よくわからない。そもそもそんなことが出来るのだろうか?
しかし、中継特有の機械的にカット割して時間軸がぶつ切りにされているから、メタモルフォーゼしていく映像の面白さががわからんのよー(あるいは転生かな?)。それって「ファウスト」の主題の一部ではないかと思うのだけど…。
だからメトロポリタンオペラが観られる!っていうだけでいい人にはオススメ。ストーリーはwikiで予習していくと良いです。
ただし、NHKの劇場中継とちがって、上演前や幕間にドキュメンタリーやインタビューが入るので流れが分断される。テレビ観劇というより教養番組的なつくりです。
■ジョゼフ・ロージーの『ドン・ジョヴァンニ』予告編



